小石の独り言

日々の暮らしを大切に過ごしたい

不思議な食器屋の物語 【創作物語】

 

こんにちは。

イングリッシュローズ花言葉は微笑みだそうです。

 

 

 

 

     【不思議な食器屋】 

 

 

ここは食器屋です。

わたしはこの店の店主です。

わたしがひとつひとつ探してきた食器たちがお客様を待っています。

わたしが集めた食器には不思議な力があるのですよ。

 

 

今日もいい天気です。

朝からまぶしい日差しで食器たちもかがやいています。

「カラン、コロン」

アベルがなると、青い色のワンピースの若い女性が入ってきました。

 

ゆっくりと歩きながら食器を見ていましたが、カップの前で立ち止まりました。

しぱらく見つめた後、

「こちらをいただけますか?」

とやさしい声でいいました。

 

わたしはカップを箱につめ、

「きっと、ステキな事がおきますよ」

と女性にわたしました。

 

女性は家に帰ると、夕食の支度を始めました。

今はお父さんと二人でくらしています。

お父さんはお母さんを亡くしてからずっと元気がなく、笑う事も無くなっていました。

 

食事のあと、今日買ってきたカップでお茶をいれます。

お父さんの前にそっとカップを置きました。

 

お茶のいいにおいがします。

 

金色のふちどりでモノクロのバラの柄がとてもきれいです。 

 

お父さんがお茶をひとくち飲むとモノクロのバラの花が、お母さんの好きだったあざやかなピンク色に変わっていきます。

 

お父さんはじっとカップを見つめ、涙をうかべながら女性を見て静かに笑いました。

久しぶりに見た笑顔でした。

 

 

ここは食器屋です。

あなたもわたしの店で食器を選んでみませんか?

きっと不思議でステキな事がおこりますよ。