小石の独り言

日々の暮らしを大切に過ごしたい

不思議な食器屋 【創作物語】

 

こんにちは

 

二十代から三十代の時期に

本が好きで書店員をしていました

時々短いお話も書いています

 

 

 

       【不思議な食器屋】

 

 

ここは食器屋です

私はこの店の女店主です 

 

今日は食器達が騒がしい

落ち着きのない食器達を見つめながら

お茶を一口飲んだ

 

「ぼくにはお茶は出してくれないの?」

 

食器を見ていた男性の声が店内に響いた

 

(どうしてここがわかったのかしら)

 

ため息をつきながら店主は彼を見つめた

 

以前食器を探しに行った街で出会い

力がある事はわかっていたけど

食器達がこんなに怯えるなんて

 

「すまないね 食器達を怖がらせてしまって

これでも力を抑えているのだけど」

 

申し訳なさそうに彼は言った

これでは仕事にならないので

 

「今日はもうお店は閉めるわ」

 

と私が言うと

 

「じゃあ街を案内してよ 美味しい夕食を

 一緒にどお? 僕の話を聞きたいだろう」

 

と彼は嬉しそうに言った

私は諦めたように頷いた

それに本当は彼の話を聞きたかった

 

「じゃあ 外で待ってるよ」

 

彼が出て行くと食器達が静かになった

コートを着て店を出ると

外は夕暮れ時になっていた

彼は相変わらず前髪が長くて

表情がよくわからない

私が先に歩き出すと

彼がゆっくりついてくる

二人の背中がオレンジ色に染まり

街の中へと消えていった

 

 

 

 

 

持っていたコミックもかなり処分してしまい

ましたが

お話も絵も大好きで

新刊が出ると papa told meだけは購入しています