小石の独り言

日々の暮らしを大切に過ごしたい

不思議な食器屋  【創作物語】

 

 

こんにちは

以前書店員をしていました

時々短いお話書いてます

 

        【不思議な食器屋】

 

ここは食器屋です

私はこの店の主人です

 

この前仕入れてきたガラスの食器

金色の縁取りで

薄い青色の花が描かれている

昨日から窓際に置いたら

つぼみだった花柄の一輪が今朝は少し開いている

 

食器達は待っている

選ばれているようで選んでいる

自分の持ち主に相応しいかどうか

 

昨夜の雨も上がり今日は朝からいい天気

掃除が終わり店を開けると

ドアベルが勢いよくなった

入ってきたのは若い女性のお客様で

不機嫌そうに私を見て

「この食器をいただくわ」

と花柄の食器を指さして言った

通りから見ても

窓際のガラスの食器は目立つのだろう

 

食器を見ると開きかけた花はつぼみに戻っている

ここの食器達は自分で持ち主を選ぶ

そしてガラスの食器はあなたではないと言っている

まわりの食器達も不機嫌になってきたので

「申し訳ありませんがこちらは売約済みなので」

と私が言うと

信じられないという顔で私を見て

大きな声で文句を言いながら帰っていった

「朝から疲れたわ」

椅子に座りため息をついて食器を見ると

何事も無かったようにつぼみが開き始めている

「綺麗ね」

つぶやきながらなぜか彼の事を思い出した

時々呼んでもいないのにここに来て

来るたびに食器達をざわつかせる

とても迷惑なのに

彼にこの綺麗なガラスの食器を

見せてあげたいと思っている自分に気づき

またため息が出る

お茶にしようとカップを選びながら

私は考えるのを辞めた

 

 

今日の朝ごはん